【推し漫画紹介】ミリタリー知識がなくても「平和の国の島崎へ」は面白い。(微ネタバレあり)

単行本1巻表紙

こんにちは、しーらです。最近Twitterで見かけた「平和の国の島崎へ」という漫画が面白そうだったので買ってみました。硬派で青年誌らしい描写が多彩ですが、ミリタリー知識がなくても十分楽しめますよ。

あらすじ

幼少期に国際テロ組織に拉致され、戦闘工作員となった男・島崎真悟。

30年の時を経て、組織からの脱出に成功した彼は故郷である日本に帰ってくる。

島崎は新天地で平和な日常を手に入れられるのか——。

原作は大型新人・濱田轟天、作画は『ハーン –草と鉄と羊–』『インビンシブル』の瀬下猛で贈る、日常と戦場の狭間で生きる男のアクション譚!ー週刊モーニングの作品紹介より

なかなか衝撃的な始まりからスタートする本作ですが、「ヨルムンガンド」「ザ・ファブル」が好きな方なら「あるある」に感じると思います。私もそう思いました。でもこの作品、思ってる以上に他の漫画と異なるところがあったりします。

 

島崎の異質さをこれでもかと描写している

主人公の島崎真悟は幼少期に拉致され工作員となりますが、その辺りの描写はかなりあっさりとしています。これは徐々に紐解いていく形だと思いますが、基本的には日常を中心に描いているので、序盤から深堀りしすぎず丁度いいと思いました。個人的にはメリハリがあって好きです。その代わり、チンピラから逃げる島崎の身体能力の高さや、寡黙な様子の描写。かと思えば島崎がライフワークにしているイラストの話題では子供のような無邪気さで喋ることもあります。それらを合わせた根本的な精神と身体の不一致さは極めて異質に感じます。

上述した漫画でも、精神疾患を抱えた人間もしくはネジの外れた人間というのは数多く登場しますが、それらとは全く異なる、奥深くまで練られた島崎の深遠を良く描いています。天然、と評するには少々闇の深さが違うように思います。

 

幕間の解説の丁寧さが物語をリアルにする

私は単行本派なので、幕間のページとかもかなり好きなのですが、この作品ではミリタリー知識や海外の文化の解説もかなり造詣が深いです。こういった補完情報というのは物語の世界観に対する移入がよりリアルに感じ取れるようになります。ライトな読者層に対してもこういった提供があるというのはかなり嬉しいことですね。

とはいえ、こういった漫画を読む人は大抵設定資料集とか好きな人かと思いますが……(私もそう)少々ネタバレになりますが、やっぱり軍用のナイロンってスゲーんだなと思いました(笑)

 

島崎の周囲の人物たちも緻密に、深くまで掘り下げている

島崎を中心に展開していく本作ですが、周囲の人物たちもそれぞれの何かを抱えて生活しています(島崎と一緒に生活している元工作員など)本編最序盤から島崎はコーヒー屋でバイトを始めるのですが、そこの主人とのやり取りから家族全体を巻き込んだ展開が続いていきます。このような島崎を中心に、人間関係が紡がれていく描写は暖かく感じました。それと同時に、より島崎という人物像を謎めかせていくなと思いました。

 

まとめ:エンタメとも社会派とも違う、新しい日常系漫画の形

これからの展開がとにかく気になる良作というのが結論です。既刊2巻しかでていないのでまだ時期尚早と言わざるを得ませんが、セオリーに沿った展開ながら人物像掘り下げや設定の補完、演出の緻密さは秀逸というに相応しいでしょう。こういった漫画なので絵柄や青年誌ならではの描写は好みが分かれますが、一度読んでみるだけでも何か違うものが感じ取れるはずです。

 

それではまた明日。

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