自分の欲求に忠実であれ。「お金の減らし方」を読みました。

こんにちは、しーらです。今回は各所でもお金の考え方の一つとして話題になっている森博嗣著「お金の減らし方」を読んでみました。なかなか変わった本で小説のような読みごたえがありました。少しばかりですがレポしていきます。

概要

「お金がないから好きなことができない」
人はとお金を理由にしがちです。
一方、お金持ちは「お金は使えば使うほど増える」といいます。
人生や価値観を左右する「お金」とは一体なんなのか。
どうすれば、お金の不安が消えるのか?
本書は、著書『作家の収支』でその収入を明らかにするなど、忌憚なく本質を突く作家・森博嗣が
「お金の減らし方」と題し、人生とお金の付き合い方を解き明かします。
投資家やFPでは決して語ることのできない。
「お金」への思い込みをひっくり返す1冊! (Amazon紹介ページより)

著者は「すべてはFになる」や「スカイ・クロラ」などベストセラーを数多く輩出するヒットメーカーです。平均生涯賃金の20倍ほどは稼いでいる森博嗣氏の人生は特別お金に恵まれた環境ではないということを踏まえながら本書は進んでいきます。

若いころはむしろ貧乏だった

大学の助教授であった森氏は1日16時間勤務という激務でありながら当時としては薄給であり、妻子を養うにはかなり厳しい状況だったそうです。その中でも森氏はあることを大事にしていました。「他人や周りに迷惑をかけない範囲であれば、ほしい物なら買って当たり前だろう」という欲望に忠実な思考だったのです。そのためには仕事を頑張って当たり前であり、必要であれば貯金もする。昨今で言われる「楽して儲けよう」などという思考は微塵も作中には存在しません。これは、非常に単純で重要なプロセスだと私は思いました。子供のころ、欲しくても買えなかったものはどうしていたか。貯金して、目先のお菓子やおもちゃには手を出さない。ゲームセンターなんてもってのほかです。森氏は特別なことを言っていません。子供のころやっていたことなのですから。年収が高くても日々の暮らしに苦しんでいる人は、お金の使い方が変わっているのかもしれませんね。

お金に対する思考

お金というのは、自分の未来の可能性を考えるツールの一つだ、と捉えるのが、最も近いように僕は思っている。ー第一章お金とは何か より

お金そのものに価値はないと、森氏は語ります。価値があるのは「欲しいもの」であり「お金自体は仮想のものであり、価値を測るためのものさし」でしかないといいます。確かに、経済破綻してしまえばお金などすべて無価値になってしまいますからね(現状の日本に経済破綻の可能性は低いですが)そうなると価値とはどこにあって、誰のものなのでしょうか。森氏は、「自分が手にした時に感じる満足度」と述べています。自分の欲求に忠実な思考の著者ですから当然と言えます。これはなかなか特殊な思考だとと思いましたが、森氏は同時に「しばしば他人のためにお金を使っている方を散見する」と述べています。つまり、自分が買ったものに対する他人の目を購買基準にしている人がいるというのです。Z世代の最古参である自分としてはこの思考は理解できます。自慢したくて物を買う人、確かにいます。自分ももしかしたらどこかで同じようなことをしているのかもしれません。

自分自身を基準にお金を使うということ

では、どのようにしてお金の使い方を考えるべきなのか。森氏はこう語ります。

自分のビジョン、自分の嗜好に合致した人生というのが幸せというものである。自分の思いを現実にすることが、自由というものだ。ー第5章 欲しい物を買うために より

つまり、自分のためにお金をやりくりしていく行為というのがひいては幸せにつながるということなのです。金額では測れない価値もあります。だからこそ、自分の欲求に対して敏感になることが重要だと語りました。言われてみれば自分が何をやりたいのかわからないという人は増えたように感じます。森氏はインターネットによって他人に対する承認欲求を満たしやすくなったと分析しています。自分が何をしたいのかそのために何が欲しいのか。それこそが自由への1歩なのだと感じました。

他人に依存した願望は持たないほうがいい。

他人に依存した夢や願望はできる限り持つべきではないと森氏は語ります。例えばアイドルになってみんなに認められたい、といったものです。なぜ持つべきではないのか。他者というのはコントロールできず、またお金によって解決できないからです。これは自分にとっては目からうろこでした。人というのは人同士関わりあって生きることであり、協力し合わなければ生活が成立しないからです。私としては他社に依存した夢や願望は、自分の生きる道として存在し得る道なのだから止めるべきではないと考えます。では、どうしても諦められない場合はどうしたらいいのか。ひどく短絡的で明快ですがこのように森氏は提案します。

人から褒めてもらいたい、優しくしてもらいたい、といった欲求は、お金でそういう演技をしてくれる役者を雇うことをおすすめする(実際、そういう商売が昔から沢山ある)ー第4章 お金がないからできない? より

総評

全体的に基本みんなやってるよねっていうことと、森氏の体験に基づく考え方なので全部を参考にできることはないです。少なくともこれを読んで何か役に立つことを学ぶという思考で読むと損した気分になります。しかしながら、森氏の文章や持論そのものは読んでいて面白いので、小説のつもりで読むととても面白いと思います。森氏のファンならば一度読んでみることをお勧めします。森博嗣著「お金の減らし方」はこちら

それではまた明日。

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