【推し漫画紹介】日本に帰るため、青年は満州の闇に深く潜る。

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こんにちは、しーらです。今回は友人に勧められて面白かった「満州アヘンスクワッド」を紹介します。友人曰く「ゴールデンカムイが好きなら面白い」とのことでしたが、個人的にはそのエッセンスも感じながら、よりディープでネガティブな世界観にハマりました。

青年は理不尽の先に母親を失う

舞台は昭和12年。満州に侵攻する日本軍の兵士である「日方勇」（ひがたいさむ）は戦地で右目の視力を失い、戦力外として農業義勇軍に配属されます。

上官に虐げられる日々を送りながらも、同属の「陣内」のやさしさに触れ、母や妹と弟のため懸命に従事する勇でしたが、ある時勇の母親は不治の病とされる「ペスト」に罹患してしまいます。治療薬の値段は２００圓（現在の紙幣価値に換算すると６００万円ほど【満州中央銀行券　甲号券　１円の場合】）と法外以上の大金でした。

失意のうちに自宅へ帰る矢先、勇は軍の廃棄場と銘打った、芥子の農場を発見します。農場の支配者である陣内に発見されるもやむなく殺害。植物の知識に長けていた勇は芥子を使い阿片を精製することに成功。満州の裏社会勢力「青幇」（チンパン）へ赴き、ボスの「杜月笙」（とげつしょう）の娘「麗華」（リーファ）に売却、200圓を手にします。

しかし、時既に遅く母親は数日前に亡くなっていました。見るに堪えぬ姿に涙しながら、感染を防ぐため母親の身を焼く勇の心にも生きるための炎が燃え上がっていました。

満州の裏社会に下克上を挑む娘と手を組み「真阿片」で日本への帰郷を誓う

麗華とは阿片の売却時、勇の精製した阿片を使い満州をこの手に収めないかという提案がされていました。そこで勇は、「１万圓稼ぐまでは協力する」という条件のもと、麗華と行動を共にすることにしました。勇の作った阿片は非常に純度の高い、人を壊せるほどの作用がある代物でした。麗華は「真阿片」と名付け、この阿片を巡った物語が動き始めます。

その決断と行く先は希望でありながら、勇が考える「光」とは程遠い「闇」であるとはこの時はまだ思う由もなかったのです。

主人公の周囲には筋を通す者、裏切る者、潜む者などが行くたびも交差していく

この後にも勇の周囲には様々な人々が交差していきます。瞬間記憶能力を持つ少女「リン」に語学堪能で軟派な男「バータル」など、それぞれが持つ大きな目的のため、勇を助け、裏切り、あるいはその身を潜めます。その時勇はどう決断し、行動していくのか……。

まとめ：希望の闇を手にしたその結末が楽しみな作品

• アクションよりも心理戦を楽しめる人
• ディープでネガティブな、満州の世界観を楽しめる人
• グロテスクな描写とは違う「残酷な描写」を楽しめる人

• いい人たちが「ひどい目」にあいがち
• 主人公自体が犯罪者になっていくのは確実
• 重い話に耐えられない人は読まない方がいい

総じて、青年コミックスらしい「毒があり、決してすべてが報われるわけではない仄暗い漫画」と言えます。文字通り戦争と言えるような侵略と防衛の駆け引きは丁寧で細やかなやりとりが感じられつつ、緊迫した状況も盛り合わせることで緩急がある展開となっています。本記事時点では既巻14巻となっていますので、気になる方は是非買ってみてください。

それではまた来週。