【推し漫画紹介】「テロール教授の怪しい授業」を読んで世の中の悪意に備えよう。

テロール教授の怪しい授業1巻

こんにちは、しーらです。少し前に話題になっていた「テロール教授の怪しい授業」が電子書籍で安く買えるようになっていたので読んでみました。読むだけで世の中の悪意を学べる、そんな漫画です。

 

ティム教授の授業は過激でまさしくテロリストのよう

泣く子も黙るローレンツ・ゼミには、今年もそうとは知らない学生たちが集まっている。「あなたたちはテロリスト予備軍です。」予想だにしない一言に愕然とする生徒たち。脱落=テロリスト認定。恐ろしすぎる授業が始まる――。そもそもテロリズムとは何か? 日常に潜むテロの根っことは? 今までメディアで語られてきたテロ論は全部ウソ。テロ教授が教える、知るのは怖い、知らないのはもっと怖い「テロとカルト」の真実。Amazon紹介ページより

過激なあらすじの通り、本作では大学を舞台にしてテロリズム、ひいては自分自身を守るための知識武装をティム教授がこれまた過激な研修で教育していく、という内容になります。後述しますが、漫画らしい突飛な内容でありながら過去の有用な文献や緻密で膨大なデータを検証した論文が紹介されており、漫画らしくない信憑性の高い構成です。

 

敵を理解しなければ敵に対処することはできない

テロリズム、というと耳馴染みがありませんがティム教授からすればマルチ勧誘やカルト宗教はテロの温床と解説します。なぜならそこに属する人たちは、孤立し周りの支援も受けられない状態で組織に監視され逃げられなくなってしまった、いわば囚人なのです。そういった人たちが集まり、何かのきっかけで過激になることは難しくないと言います。ただ、他人の意見に対してテロリズムだと安易に断ずるのは間違いともティム教授は説きます。なぜなら、人はそれぞれ異なる正義を持っており、一方の視点や限定された条件だけでは判定できないからです。自分としてはまずこの定義から根本的に認識が異なっていることを実感しました。案外、日本人はテロに対して知っているようで何も知らないのかもしれません。

 

悪意はどこにでも潜むが、誰しもが最初から暴力には訴えない

本作ではテロリストは高学歴で学歴に恥じないエリートが多いことを紹介しています。なぜかというと彼らは自分で物を考え、判断することを自分で行ってきた人たちです。なので、間違った情報をもしも信じてしまうと……。ということなのです。ただ、そんな彼らも最初からテロリストではありません。合法な批判的活動を行ってきたものの、成果が見られない……。そんな時に、彼らを利用しようとする団体が優しく、確実に彼らを「収容」し、過激な活動に利用するというのです。ちなみに、テロ組織として日本でもっとも有名なオウム真理教には、高学歴のエリートが多数所属していたことからも、一般的なテロ組織のイメージである「清貧で、学のない人たち」とは全く異なることがわかります。

 

 

健全な批判的精神を身に着けよう

では、「テロリスト予備軍」から抜け出すにはどうすればよいのでしょうか。第3巻のテロリストリクルート演習編でティム教授は語ります、「健全な批判的精神を身に着けること」だと。字面だけ見れば簡単そうですがこれはかなり難しい事です。なぜなら、すべてを検証し、あらゆる視点で物事を知り尽くすのは一人の人間には不可能だからです。なので、最終巻ではこの問題に対して「依存先を増やすこと」と語りました。健全な批判的精神とは、信じるべきことと疑うことのバランスが取れている状態のことです。すなわち、いろんな人間とつながりを持つことで自分以外の経験、知識や思考、信条を学ぶことができます。それが事実や事象に対する信頼や嫌疑の正確さにつながっていくのです。

 

まとめ:悪意に惑わされる前に、この漫画で楽しく学んでみよう

全4巻で手軽に読みやすく、独特の絵柄で人を選びますが、参考文献や引用元の書籍も詳しく載っていて、テロリズムの教科書ともいうべき内容と言えます。また、延長線上には自分がどうあるべきか、日本や世界の事象に対してどのように向き合っていくべきかの指針も伝えられています。皮肉や風刺めいた回りくどい表現は少なく、基本「あらゆる人はテロリストになり得る」という右ストレートなスタンスで警鐘を鳴らしています。また、幕間のコラムもかなり面白く、世界の問題に対しての様々な解説は非常に有益と言えます。「自分はそんな人間にはならない!」と思っている人にこそ、一度読んでほしい漫画です。

 

それではまた明日。

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